【エターナル夏休み部】第1章 6話「懺悔(?)の始まり」

メインストーリー1章6話

第1章 6話「懺悔(?)の始まり」

夜・時計塔

ふあぁ……。
おや、眠いですか?
ご、ごめん。
緊張感なかったね。
大事な時なのに。
いや、いいさ。
突入までもう少し時間かかりそうだしな。
つか、不良なんて本当にいるんですか?
夜になったら現れるって話でしたけど……。
全然来ねぇし。
そうなんだよな。
おーい、ハルヤ。
不良の話は本当なんだろうな?
……ん?
……。
あいつ、なにやってんだ?
ぼーっとして。
僕に聞かれましても。
おい、ハルヤ。
どうしたの?
どうしたのじゃねーだろ。
不良は来るのかって聞いてんだけど。
あ、うん。ごめん。
不良が来る時間帯とか調べたつもりでいたけど、
全然来ないから。
少し不安になってたとこ。
お前が調べたんなら来るさ。
いつまででも待つよ。
ただ、待ち時間が長くてちょっと暇ではあるけどな。
何かをして暇を潰そうにも、
こんな暗ければ何もできませんしね。
確かに。
キャンプ用のランタンみたいなのがあれば
簡単なゲームとか出来たのにな。
あ、来た。

 

不良A
不良A
ったくおせーんだよ。
不良B
不良B
しかたねぇだろ。
電話してたんだからよ。
不良C
不良C
最近お前着信多いじゃん。なした? やらかしたんか?
不良B
不良B
うぜぇ~。

 

さすが。
読みは当たりましたね。
時間はちょっと外れちゃったなぁ。
まぁ、いいか。
みんな、今すぐ行動を起こしたいところだけど、
不良たちが塔の中に入ってすぐじゃ駄目だ。
少し待って、相手が落ち着いてきたところで行こう。
はぁ……、緊張する。
ちゃんとやれるかな。
どうでしょうね。
作戦自体、そんな練られたものではありませんし。
もちろん、成功するに越したことはありませんけど……。
そ、そうだね。
うう、怖いなぁ……。
しばらくして――
塔の中には不良が7人。
酒盛りでもしてんのか……?
笑い声がうるさくなってきた。
ああ。
他に仲間が合流する可能性を考えると、
今やっちまいてぇな。
相手の人数が増えれば増えるほど、
こちらが不利になりますしね。
調べた限りだと、
いつも塔にいるのは大体この人数だと思う。
今動いたほうが良いね。
だな。
みんな、そろそろ作戦に入ろう。
――っと。その前に、おさらいだね。
おれと丈で不良たちを見張る。
何かあったら2人で対応するから、応援に来なくていい。
他の3人は塔の隅――
『発見しづらいけど頑張れば発見できそうでもあって、
尚且つ第三者に「物を隠しそうな場所」だと
思われそうなところに、いい感じに
設計図と花火を置く』、いいね?
注文が多い……。
しかもふわっとしてる……。
失敗しても責めないでくださいね。
なにぶん、こういうことは初めてなもので。
もちろん。
失敗しても誰も責めない。それが「懺悔部」の掟だからね。
いつからそんな掟が……。
もしかして「懺悔部」を気に入り始めてます?
じゃあ、みんな!
グッドラック!
時計塔内部――
不良B
不良B
くそ。知らん番号と非通知の着信が止まんねぇ。
不良A
不良A
まだそんなこと言ってんのかよ。
不良B
不良B
だってずっと来るんだ。
不良C
不良C
それ、お前に絡んだやつがやってんの?
不良B
不良B
それがわかれば苦労しねぇんだよ。

 

お。イライラしてるね。
でも、もう少し気が立った状態がいいんだよなぁ。
……なんでだよ。
その方が好都合だから。
ハルヤ。お前さ……。
うん?
わざと、殴られようとしてねぇか?
……わかっちゃう?
わかっちゃう。
不良たちを見張ってるから、その隙に設計図を……なんてさ。
今回の作戦にしちゃ、ちと大掛かりなんだよな。
今回のやつらはただバカ騒ぎしてぇだけだ。
オレたちがわざわざ隙を作らなくても、
5人で静か~に設計図と花火を置きゃ、
安全に帰れるはずなんだ。
うん……。
あいつらが設計図と花火を仕込む。
仕組んだのを確認してから、
ハルヤが正義感と「懺悔部」の活動として、
不良に「注意」をする。
んで、怒った不良とやりあう。
3人が離れちまえば、あとは通報するなり好き放題できる。
ボコボコに殴られた「生徒会長」であるハルヤがいて、
理不尽な「懺悔部」のことも明るみに出りゃ、
上手くいけば教師陣もろとも消せる。
今のがオレの頭で考えた「ハルヤらしい作戦」なんだが
あってるか?
ついでに言うと、
3人には罪がかぶらねぇように全力で守るつもりでいる。
……オレのことはそこそこ巻きこむつもりでいる。
なんだ。ばっちり伝わってたんだね。
さすが丈。
おー。
お前はそういうやつだ。
高校入学してからの3年間で、思い知ってるよ。
今日のところは付き合ってやるよ。
同じ「部活」仲間だしな。
うん!
不良B
不良B
あぁ、くそが!
不良A
不良A
おいおい、スマホに当たるなよ。
不良C
不良C
短気すぎんだよ。
こないだもスマホ投げて壊してたろが。
不良B
不良B
うるせーんだよ!
……あぁまた知らねぇ番号から電話が。
うわっ!
……投げられたスマホに当たっちゃった
不良B
不良B
あ? お前ら、誰だよ。

 

一方その頃――
ここら辺に仕込みます。
ちょっと待ってください。
設計図と花火は隠されているという設定ですよ。
そんな堂々と置かれているわけないでしょう。
こう?
どうしてそうなるんですか。
美的感覚のかけらもない。
もうちょっとセンスのいい置き方を――
チッ……。面倒くせぇな。
だったら先輩がやってくださいよ。
俺そういうセンスないんで。
服が汚れるので嫌です。
はぁ?
クレーマーかよ。
ちょ、ちょっと……!
僕がやるから!
だから美知くんは指示して。
あざす。
珍しいですね。
いつもは後ろで見ていることが多いのに。
ただ怖いだけだよ……。
喧嘩も嫌い、言い争いも。
早くこんなこと終わればいいのに。
……。
じゃあ俺は本当にぬけがないか、
ちょっとまわり見てきます。
仕込む場所はもう確定でしょ?
後は2人でやっても問題ないと思うんで。
ええ。
美知先輩の類まれなる美的感覚をもって、
あと30秒でいい感じに仕込んでください。
嫌味ですか?
嫌味以外にどうとれるんですか?
俺たちが設計図と花火をスムーズに仕込めたら、
全員でさっさと帰れるはず
30秒待ってから先輩たちに合図を――
誰だって聞いてんだお前!!
はぁ……。
そう上手くは行かないよな……。

 

 

投稿者 日生 良

物書き色々クリエイター